水の生きものの話2016/09/12 18:55

8月のさなか、河川のボランティア調査に出かけて、川の中ですっ転びながら生きもの採集をした・・・ということを以前ブログに書きました。

 

で、その時に採集した生きものの同定が、ほとんど終わったので、今日は彼らの写真をいくつか載せてみようと思います。

 

ということで、昆虫系が苦手な方は《この先危険区域》とご承知おきを。

 

今回、モニタリングスポットに選んだのは、昨年の採取場所よりも水質の良い川でしたので、採取した生きものの種類も豊富でした。

それだけに、サンプルから生物を同定する作業は、それなりに骨が折れました〜。

 

改めて、実体顕微鏡を通して彼らの姿を観察していると、水辺で採取した時に俊敏に動き回っていた彼らの様子を思い出したりもして。

 

すでにアルコール漬けになっているので、本来の色を失ったものも中にはありますが、太古の昔から続いていそうな精緻な造りとデザインは、ヤバイ系から神秘系まで、感嘆するほど様々でした。

 

ところで、採取した生物は、同定講習会に参加すると、詳しい先生方に質問しながら同定作業ができるようになっています。

たとえば、下の写真は2㎜ほどの大きさしかないドロムシ科の甲虫。ですが、先生曰く、右と左とでは、種類が違うのだそうですよ。

そうか・・・・・・とにかくどこかが違うのだな? 凄いな先生。もし指摘してもらえなければ、素人らしくアッサリ見過ごしていたに違いない発見です。

そればかりか、シャーレの中に浮かぶゴミクズやら幼虫やらの中から、2㎜ほどのドロムシを2匹、肉眼でシュバッと見つけるところがスーパープロフェッショナル。

確かに、こちらも ”広大な川から2㎜程度の甲虫を3匹採取” したのは確かですが、現場では、白いタモアミの中や水を張った白いバットの中で、黒い粒が生きてチロチロ動き回るわけで、発見するのは意外にたやすい・・・。

ちなみに、並んだ黒い2匹のドロムシは、光沢と色合いが違うのだそうです。

 

参考までにドロムシの幼虫↓↓はカブトガニや三葉虫を連想させる、アンティークデザイン。


 

ちらは、水中の落ち葉をロール状の住処にして暮らす昆虫の一種で、頭だけちらっと出ている状態です。(写真は2センチくらいの大きさ/一緒に写り込んでいるのはカゲロウの幼虫)


ところが、この幼虫は全長が5㎜ほどしかない小さい頃に、落ち葉ではなく砂で作った住処を身にまとっていることもあるのだそう。

そう教えてもらうと、いっときの砂の家がまるで宝石で作られた建造物のように、特別なものに見えてきたりします。

 

こちらも、頭だけチラリズムな、小石の家に住む幼虫。(2〜3センチの大きさ)

小石をチョイスする基準でもあるのか、ハイセンスなロックハウスにお住まいですね。

 

これら筒状の家に住む幼虫たちは、トビケラの仲間たちです。

 

しめくくりは、カゲロウについて教えていただいたあるお話し。

仮にカゲロウの幼虫を捕まえたとして、それを連れて帰って育てようとした時、水温や水質はもちろんのこと、あるシンプルな条件が整わないと、移動の途中で皆死んでしまうのだそうです。

そんな話を聞いていると、カゲロウってのは羽化した後だけでなく、幼虫の時から儚いものなのだなぁ、と感じ入ってしまいました。

なるほど、環境の変化に敏感な生きものたちを調査すれば、川の水やその周辺環境の様子がわかるというのは、素晴らしいアイデアなんですね。