川のきれい度を知るには/カゲロウの幼虫たち ― 2015/10/26 20:24
ボランティアで参加している川の水質調査で、測定の指標のために捕獲され、今は標本になっている水の生きものたちです。
(虫が苦手という方はご注意くだされ)


実体顕微鏡で大きく拡大された彼らの姿は、驚くようなつくりをしていました。
たとえば、地上ではトンボやホタル、カゲロウの姿で見かけることができても、水の中の幼虫の時期には装飾細工のようなエラがあるものもいる。
太古の昔の昆虫を思い出させるような、色や形をしているものには、驚かされました。
上から順に、カゲロウの亜成虫(成虫になる前の仮の姿)と、カゲロウの幼虫たちで、今回採集した幼虫の実物は、数ミリから1センチ前後の大きさ。
そう・・・捕獲したほとんどの水生生物は、細いピンセットで追いかけまわして、そ〜っとつまむような、小さいサイズのものばかり。
(川の条件でまた変わる)

調査には、それ用の機材と設備・施設を貸して頂きながら、各専門分野の先生方から技術と知識のサポート(講座)を受けて、夏頃からゆっくりと取り組みをすすめてきました。
で、やっと先日、標本になった生きものたちの “科” の同定が済んで、結果をまとめられる段階にこぎつけたところです。
調査した川のきれい度を、採取した生きものを元に計算するのですが、実際、その川に入って感じている感覚と計算結果は、一致しているな〜と感じています。
それにしても、川の流れにず〜っと立った状態で行う作業って、けっこう力がいる。
そこへ好天で太陽が照りつけていれば、それなりに消耗するので、何かしらの思い入れがなければ務まらないお役目です。
それに、水位が30センチを超える流れには、入らない、(水深が膝よりも下)というのは、溺れないための必須の知恵だと実感しました。
特に早瀬(はやせ)になると、水に勢いもあるので、浅いと思って不用意に踏み入れると、流れに足を取られまいと踏ん張るのに必死になります。
(上流に足を立てながら歩きましょう)
じゃあ、川の水かさが少なそうな日の、曇りの日に調査すればいい、と言われればそうなのですが、川に調査に入るには必要な手順があって、それを飛ばすと採集結果を採用されない仕組みになっています。
というのも、何川のどの付近で、何の調査をいつなんどき行うのか、一週間前までに報告するというルールがあるからです。
なので、もし雨や増水で、調査を予定した日に川に入れない時は、また一から調査日の申請をし直さなければなりません。
この “川を大切に守る仕組み” は、遊漁料を払う必要がある川には、特に厳しく布かれているようですよ。
(河川の管理のルールは色々あると思います)
さて、話は水の生きものに戻って、簡単に言えば“生きもの採集”は、40年ぶりでした。
久々に、この生きものをめぐる探検をして思い出したのは、虫採りって、そういえば “ポイント” に陣取ってやっていたな〜ってことでした。
(一箇所からそんなに動き回らない)
それはまるで、小さな間口から別の世界の様子を、見ようとする感じ・・・。
そんな子どもの頃、近所の川で捕まえた生きものといえば、メダカやフナ、ハヤ・・・で、しかも自宅で育てるのが目的。
それに、ゲンゴロウやタガメ、タイコウチのような、水の中の生きものが網の中に入っても、子どもの目には怪しげな、ぱっとしない生きものに見えたので、すぐリリースしていました。
なので、ちゃんと “標本のための採集” ができるかな? 標本よりは、やっぱり生きものが活動している様子をずっと見ていたいなぁ〜、と思いながらも、引き受けた役割りを全うした次第です。
想像していた以上に、水生生物、河原の植物、これらの生物の捕食者・・・など、彼らの生息状態を広く調べると、在来種と外来種、周辺から川に流れ込むものの状態(農薬や土砂)、色んなことがわかるようになっていますね。
これは、 “指標になる生きもの” の調査研究の賜物だと思います、素晴らしいことですね。
おかげ様で、今度から、庭にカゲロウの仲間が舞い込んできた時には、ぜひ写真に撮っておかねば、と思うようになりました。
それに、近所の緑地帯の湧水へ出かけるにしても、新しい観察眼が手に入った今、楽しみ方が増えた複眼人間です。
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